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ダイヤモンドの価値はブランドでは決まらない

高級ブランド=高品質のダイヤモンドというわけではない

日本では市販されるすべての0.1ct以上の宝飾用ダイヤモンドには鑑定が行われており、鑑定書(ダイヤモンドグレーディングレポート)によって石の品質がランク付けされています。しかしながら一般的には、「ハイブランド」=「高品質なダイヤモンド」という認識を持ちがちです。

「ハイブランド」=「値段が高い」は間違いではありませんが、「値段が高いハイブランドジュエリー」=「高品質なダイヤモンド」とは限らないのです。鑑定書によって同じランクの石とされていても、ブランドによって価格は変わってくるのです。

ダイヤモンドの品質か、ブランドとしての価値か

リングをつけた女性のイメージハイブランドのジュエリーで有名なのはティファニー。

ブランド力があるために「ティファニーのダイヤモンドは輝きが違う」と思い込んでいる人もいるかもしれませんが、ティファニーのダイヤモンドだから特別に輝く、ということではないんです。

実はティファニーのダイヤモンドには、4Cの「カット」についてのランク付けがされていないものもあります。カットグレードもGIA(米国宝石学会)が定めたグレード評価基準ではなくてティファニーの独自基準が設けられています。

だからと言ってティファニーのカットグレードが他社に比べて劣っているわけではありませんが、独自の基準とブランド力で、ティファニーのダイヤモンドは価値を持っているのです。

ダイヤモンドのように高額かつ一生の記念になるものは、購入する方も信頼感や安心感を求めています。ハイブランドのものなら、「○○で購入したダイヤモンドジュエリー」という価値を保証してくれるので、購入する方も安心することができますよね。

もちろん、ハイブランドのジュエリーはデザインや技術力などに優れていることも事実。見た目やブランディング力で、身に付けている方やプレゼントする方が満足感を得ることができるのも、高級ブランドのメリットです。

一方で、カッティングや品質管理に重きを置いているブランドなら、同程度の金額でより高品質なダイヤモンド・大きいサイズのダイヤモンドを購入することが可能です。

ダイヤモンドとしての本質的な価値や輝きの美しさをとるか、ブランドの満足感をとるか、両方の価値を追求するかは、人によって異なると思います。

ダイヤモンドジュエリーを身につけることで、どういう価値を得たいのか?また、大切な人に贈るダイヤモンド、大切な人から送られるダイヤモンドとして、どういう選び方をするのか?長く身につけ、人生の大事なシーンで自分を輝かせてくれるダイヤモンドとして、何がふさわしいのか?

自分なりの「ダイヤモンドの価値観」を整理しておくことで、ダイヤモンド選びもよりスムーズに行えるようになるでしょう。

今さら聞けない・・・。ダイヤモンドはなぜ価値があるのか

ダイヤモンドが歴史上で初めて登場したのは古代ローマ時代とされており、その石は遠い国インドから渡ってきた珍しいものと珍重されました。まだ研磨技術もありませんので、その硬さや原石そのものの美しさを評価されたものだったと考えられています。宝石の原石は、そのままではジュエリーに使われるような輝きや美しさは見出せません。

ダイヤモンドの価値を大きく上げたのは、研磨技術、そしてカット技術の発達に他なりません。世界一固い鉱物であるダイヤモンドを研磨するためにダイヤモンド自信を使って加工するという技術が確立されたのは15世紀に入ってから。ベルギー発祥と言われるこの技術も、まだ表面を研磨するまでにとどまり、現在みられるようなカットを施すことはできませんでした。

ダイヤモンドを最も美しく見せるカットとして有名なのがブリリアントカットです。その緻密なカットを確立したのは1919年のトルコフスキーが最初と言われています。その後も改良を重ね、より美しく、より繊細に輝くカット技術が提唱されてきました。

ブリリアントカットが美しい理由は、ダイヤモンドが持つ、宝石が美しいとされる条件を全て満たし、それを最大限に引き出したカット方法だからです。高い屈折率、小さい臨界角、そして広い全反射です。臨界角とは、屈折率の大きいところから小さいところへ向かう時の光の全反射が起きる最も小さな入射角のことで、この3つが理想的に組み合わさることで素晴らしい輝きがもたらされます。

 

ダイヤモンドに価値がある理由はその希少性にもあります。宝石は地中深くに埋まっている原石を発掘することが必要ですが、ダイヤモンドは地下150kmの岩石の中で生成されています。しかし、現在の発掘技術をもってしても、地下150kmという深さまで到達することは不可能です。私たちは地上近くまでに現れた原石を採取するしか方法はないのです。その方法のひとつとして、キンバリーライトというものを使った採取方法があります。キンバリーライトは溶火山岩と言って、ごくわずかな地域のみで噴出しており、そこから原石を探し出す事ができるのです。

しかし、4トンの原石を採掘したとしても見つけられる最大のものは約1カラット。約0.2gしか見つけることはできないといわれています。まれに発見される大きな石がいかに希少なものかが分かります。さらにその石がジュエリーとして価値を持つかどうかは約25%といわれており、そこから研磨やカットを施すため、市場に出てくるまでには莫大なコストがかかっていることになります。かつてはインド以外からは産出されないと思われていた原石も、18世紀に入るとブラジルで、19世紀中ごろには南アフリカでも発見されました。1890年にプレミア鉱山が発見されると南アフリカは主要産出国となり、その地位を確実なものとしました。また、周辺のアフリカ諸国でも産出は可能ですが、それでも希少性には変わらず、珍しいものという認識は変わりません。

このように、ダイヤモンドにはその価値を決める要因が複数存在していることが分かります。希少価値が高く、採掘に手間がかかり、加工技術にも莫大な手間と費用が掛かります。さらには、世界一固く、最も美しいという財産的価値も相まって、世界でも最も高価な宝石と言われているのです。女性にとって、それは永遠の輝き、永遠の愛を象徴するシンボルともなっているため、世界中の女性が夢中になるのも頷けます。

悠久の時の中、いつまでも変わらない美しさを放つダイヤモンド。語り継がれてきた輝きの分だけ、価値があると言えるのではないでしょうか。