アクセサリーとは違う?工業用ダイヤモンド

宝石として高い価値を持っているダイヤモンド。今回はダイヤモンドの別の顔として、宝石以外に利用されるケースを紹介します。

美しさだけでなく、「硬さ」「熱的性質」「振動特性」「半導体」と、あらゆる面で優れた特性を持っているダイヤモンドは工業用としても私たちの身の回りにたくさん存在しているんですダイヤモンドの持つ優れた機能と活用方法を解説していきます。

目次

1.工業ダイヤモンドとは

ダイヤモンドは実は宝石としてよりも工業用として利用される頻度の方が多く、工業用として使われることの方が重要であるとも言われています。

発掘されるダイヤモンドのなかでも、宝石として利用されるのはほんの一部です。宝石用のダイヤモンドは品質や大きさによって選別され、一定の基準に満たないダイヤモンドは全て工業用として利用されます。宝石として使われるのは全体の2割程度と言われており、残りの8割は工業用として私たちの身の回りの道具や電化製品などに使われることになるのです。

ダイヤモンドを工業用として利用するため、合成ダイヤモンドと言われる人工のダイヤモンドも大量に作られています。主に石墨を原料とし、現在は様々な方法でダイヤモンドを人工的に作ることが可能になりました。

2.硬さを利用したもの

ダイヤモンドは地上でもっとも固い物質として、あらゆるものを「切る」「削る」「磨く」ことに利用されています。

2-1.ガラス切り

ダイヤモンドの硬さを利用した代表的なものとして、「ガラス切り」と呼ばれる道具があります。「ガラス切り」の先端にはダイヤモンドが使われ、硬いガラスに傷をつけて切断することができる道具です。

今ではほとんど見かけなくなりましたが、昔の家庭には大抵「ガラス切り」がありました。当時のガラスは割れやすく、子供が誤って割ってしまうことが多かったのですが、そんなときには父親が大きなガラス板から「ガラス切り」で必要な分のガラスを切り出し修理していたのです。

2-2.金属加工用の切削工具

金属を加工するためのドリルや研磨工具にもダイヤモンドが使われています。砥石や金属の表面にダイヤモンドの粒子をコーティングすることによって高い切削力と耐久性を実現。あらゆる金属を加工することができる材質として活躍しています。

3.熱的性質を利用したもの

ダイヤモンドは熱の伝導率が非常に高いという特徴を持っています。熱伝導率が高い銅と比べても4~5倍の熱伝導率を持つと言われいて、その特性を活かした製品が我々の身の回りで活躍しています。

3-1.ヒートシンク

熱の伝導率を活かし、熱を逃がしやすくするための部品として活用されています。とくに電子部品に含まれる半導体デバイスは熱に弱い特性を持っており、熱を持ってしまうと性能や寿命が大幅に低下してしまうので、利用されるケースが多め。

熱から半導体デバイスを守るため、ダイヤモンドを使用したヒートシンクがコンピュータや多くの電子機械に利用されています。

3-2.ダイヤモンドコートの炊飯器

身近な家庭用の電化製品にもダイヤモンドの高い熱伝導率を活かした商品が登場しました。内釜に銅を使用した炊飯器は最近よく目にするようになりましたが、さらに高い性能を追い求めた結果、ダイヤモンドが使われた内釜を持つ炊飯器が登場したのです。一般的なステンレスの内釜に比べて13倍の熱伝導性を持つというダイヤモンドコートの内釜は、大火力を米に伝えてふっくらと炊き上がるそうです。

4.振動特性を利用したもの

ダイヤモンドはその硬さゆえに物質の中で、最も振動を伝える速度が速く、その特性を活かした用途に使われています。

4-1.レコードの針

今では見かける機会が少なくなってしまいましたが、レコードの針がダイヤモンドの振動特性を活かす代表的な使われ方です。

昔のレコード針は鉄で出来た物でレコードを何度も再生していると音が悪くなり、その度に紙やすりでレコードの針を磨いていました。それが後に摩耗に強いサファイヤ製の針になり、開発が進むとダイヤモンドが使われるようになったのです。

4-2.スピーカー

現在ではダイヤモンドの振動特性はスピーカーに利用されるようになっています。ダイヤモンドの加工技術が向上し、ダイヤモンドの被膜で覆われたスピーカ―が開発されました。これにより電気信号から変換された機械的振動を効率よく空気に伝えることができるようになったのです。

5.半導体として利用

ダイヤモンドは半導体の素材としても注目されています。半導体は身の周りの電化製品、その大半に使われている大事な部品です。家庭用電化製品に限らずインターネットや通信インフラなども半導体によって支えられているといっても過言ではありません。

これまで半導体に使われる素材といえばシリコンが主流でしたが、シリコンに代わる新しい半導体の素材としてダイヤモンドが注目されています。シリコンに比べて絶縁耐性や熱伝導率、さらに高電圧、高速動作などの面で非常に高い性能を秘めているそうです。

かつてダイヤモンドで半導体を製造するのは不可能と言われていた時代もありましたが、現在は国内の研究所でダイヤモンド半導体の製造に成功。この先10年以内の実用化・量産化に向けて研究が進められています。

その性能の高さは究極の半導体と称されるほど。もし実現することになれば、超低消費電力コンピュータの開発や環境エネルギー問題について大幅な進歩を遂げると言われています。

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